東アジア地域ガンカモ類
重要生息地ネットワーク
2001-2005年のガンカモ類活動計画の優先活動

2001-2005年のガンカモ類活動計画の優先活動
『渡り性水鳥とその生息地保全に関する沖縄ワークショップ』(2000年10月)により承認

2.1. 効果的に保全される生息地ネットワーク

1999年のガンカモ類アトラスには東アジア地域におけるガンカモ類にとって国際的に重要な生息地が337地域あきらかにされた.2000年の終わりまでに重要生息地ネットワークにはそれらの7.4%が含まれている.効果的に保全される生息地のネットワークを広げてゆくことは,保全の努力を促進するために役立つメカニズムである.技術を高めまた地域社会の認識を啓発することによって,おのおのの参加地における生息環境とガンカモ類の適切な保全活動を支援することができる.

活動1
各国から重要生息地ネットワークへの参加を得る.東アジア地域の重要生息地の10%以上を含むことを目標とする[AFO,AWG,政府機関,参加地,NGO].

活動2
参加地の姉妹提携をはかる[AFO,AWG,参加地,政府機関,NGO].

活動3
参加地の保全計画の策定を奨励する[AFO,AWG,参加地,政府機関,NGO].

活動4
生息環境のモニタリングに基づいて,参加地の保全のための情報シートとデータベースを開発する[AFO,参加地,AWG,NGO].

2.2. 絶滅のおそれのある種のための活動計画の策定

2001-2005年の戦略では,世界的に/地域的に絶滅のおそれのある種に対する活動計画の策定を必須要素にあげている.東アジア地域のガンカモ類にも12種が絶滅のおそれのある種と認められている.

活動5
東アジア地域で絶滅のおそれのあるガンカモ類から優先度の高い2個体群に対する行動計画を策定する.2001-2005年にはサカツラガンとトモエガモを対象とする.さらに将来の対象としてカリガネ,アカハジロ,コウライアイサが挙げられる[AWG,AFO,NGO,政府機関,参加地,国際湿地保全連合専門家グループ].

2.3. 地域全体かつすべてのレベルにおいての水鳥および水鳥と湿地の価値・機能との密接な関係についての意識の向上

一般市民の支援と参画が,ガンカモ類とその生息環境の保全を確かなものとするためには欠かせない.地域の人々に保全の大切さを理解しその認識を高めるために,既存の教育啓発プログラムを拡張するとともに新たなプログラムも開発することが大切である.

活動6
ガンカモ類の保全を促進することができるような教育ツールを開発する[AFO,AWG,NGO,国際湿地保全連合専門家グループ].

活動7
参加地周辺の地域社会の啓発のために,参加地での教育プログラムを開発する[参加地,政府機関, AFO,NGO].

2.4. 政府機関および非政府団体の渡り性水鳥のための保全行動を実施する能力の向上

ガンカモ類とその生息環境の保全には,種々の技術が必要とされる.現在の技術や能力はさまざまに異なっているため,研修の必要性を評価しそのもとに適切な研修や設備の支援をおこなうことが大切である.

活動8
参加地の関係者が,種のモニタリングや生息地の保全にかかる既存の研修プログラムに参加できるようにし,また研修活動を開発し実施する[AFO,AWG,NGO,参加地].

2.5. 渡り性水鳥とその生息地の適切な管理のための知見の基礎の向上と情報交換の増加

渡りをするガンカモ類の保全活動を適切に実施するためには,その生活史,渡りや生息条件などを理解することが必須である.保全の優先度を検討するためには,個体群の状況や傾向を把握することがその鍵となる.

活動9
各個体群にとっての重要生息地の見極めを促進する[NGO,研究機関,AFO,参加地,政府機関,AWG,国際湿地保全連合専門家グループ].

活動10
東アジア地域のガンカモ類個体群のモニタリングを促進する[国際湿地保全連合,研究機関,国際湿地保全連合専門家グループ,NGO,参加地,AWG,AFO].

活動11
標識や送信機を用いた渡りの調査プロジェクトを促進する[研究機関,NGO,参加地,政府機関,AFO,国際湿地保全連合専門家グループ].

活動12
狩猟圧の評価にとりくみ保全の必要性を探る[AWG,AFO,政府機関,NGO].

2.6. 協力を増加させ,よりよい結果をもたらすような,すべてのレベルにおける組織的関係の向上

渡りをするガンカモ類に関する情報や重要生息地の保全にかかる経験の交換は,フライウェイレベルでの保全促進のための基本的な協力事項である.

活動13
参加地の活動を支援するために,関係者のネットワークを築き,関係機関の連携をはかり,また情報の交換を促進する[AFO,AWG,参加地,政府機関,NGO,研究機関].


ここに掲載の優先活動をふくむ,「活動計画」は2001年初頭には印刷物として,「アジア太平洋地域渡り性水鳥保全戦略:2001-2005」ならびにシギチドリ類とツル類の各々の「活動計画」とともに印刷され,広く配布される予定です.ガンカモ類の「活動計画」はその全文をこのHPにも掲載する予定ですが,印刷物として入手されたい方は,フライウェイオフィサーまでご希望をお寄せ下さい.

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国際湿地保全連合日本委員会 ガンカモ類フライウェイオフィサー
宮林 泰彦 989-5502 宮城県 栗原郡 若柳町 字川南南町16 雁を保護する会
TEL&FAX 0228-32-2592 / E-mail: yym@mub.biglobe.ne.jp.
2000年12月19日掲載