ramsar1.gif (11407 bytes)ラムサール条約

ワールド・ウェットランド・デイ 2000: 「国際的に重要な湿地をたたえよう」
World Wetlands Day 2000: "Celebrating our Wetlands of International Importance"

[日本語訳:岩渕 成紀(仙台市科学館)・宮林 泰彦(国際湿地保全連合)/英語原文@条約事務局のウェブサイト]

[日本語PDFバージョン]


wwds4es.gif (16KB)ワールド・ウェットランド・デイ

「国際的に重要な湿地をたたえよう」

2000年2月2日

ワールド・ウェットランド・デイって何?

 毎年,2月2日はワールド・ウェットランド・デイです.これは,1971年の2月2日にカスピ海沿岸のイランの都市ラムサールで湿地に関する国際条約が締結された日を記念するものです.ワールド・ウェットランド・デイは,1997年に第1回が催され,その啓発活動が始まりました.1998年の第2回記念日では,生命にとっての水の重要性と水の供給のための湿地の重要性というテーマが設けられました.各国政府,非政府団体,市民グループを含め様々なレベルの人々が湿地の価値とラムサール条約の普遍的な恩恵についての啓発活動にこの機会を活用してきました.ワールド・ウェットランド・デイ '98では,多様な規模や形態で50を超える国々から条約のウェブサイトに報告が寄せられました.その内容は,講演会やセミナーの開催,自然観察会,子供たちの絵画コンテスト,サンパンレース(木造船のレース),地域のクリーンアップデイなど多岐にわたり,各国の新たな湿地政策と湿地の条約への新たな登録,新たなプログラムなどがラジオやテレビのインタビュー,新聞,会報等に取り上げられました.

 1999年のワールド・ウェットランド・デイのテーマは「人々と湿地:その生き生きとしたつながり」でした.この年も,政府を中心とした公的機関,市民グループの全てのレベルや規模で,人類の幸福のために湿地が与えてくれる恩恵の重要性を人々に認識してもらえる機会を持つことが示されました.湿地の大小に関わらず,北半球,南半球,そして極北の凍った大地からも,2月2日前後に少なくとも60各国を超える国々から美しい湿地とその価値と恩恵を祝うために様々な形での活動が行われました.多くの締約国政府は,国内の湿地を健全に保ち,また持続可能な活用の意味を持つ条約の礎「ワイズユース原則」を実行するためにどのような活動を進めているのかを人々に理解してもらうためにこのワールド・ウェットランド・デイ '99を活用しました.また,学校や自然クラブ,野鳥観察会,地域レベルの公園管理者の活動を通して,市民活動の焦点のひとつに湿地の価値を導入するための創造的な方法が分かってきました.


「国際的に重要な湿地」

 程度の差こそあれ,全ての湿地は,人類が依存している生態系を健全に保つために重要な価値と恩恵を持ち合わせています.条約の成功の秘訣は国際的に重要な湿地を登録指定することです.すべての締約国はそのような湿地を条約に登録し,湿地の生態学的特徴を保全するための計画をたてて実行することが要求されます.いいかえれば,登録湿地を健全に保つことです.
 何年もの間,条約は国際的に重要な湿地を見きわめるための基準を考えてきました.それらは,生態学的,水文学的価値と生物多様保護の重要性をもとに作製されたものです.この方法により,これら湿地は国家レベルで新しい地位を得るとともに,ひとつの地域や国や周辺の国々からばかりでなく,国際的な共同社会から優れた価値の湿地として認められたことになります.

 ワールド・ウェットランド・デイ 2000が近づくにつれ,116の締約国が1,000を超える湿地を登録しています.その面積は72万平方キロメートルにも及びます.これはスペインとイギリス全土を合わせた面積に匹敵します.
 2000年のワールド・ウェットランド・デイのテーマは「国際的に重要な湿地をたたえよう」です.これら国際的に重要な湿地は,市民の興味を喚起し,全ての湿地から私たちが得ることのできる価値と恩恵を証明するためのかけがえのない象徴的意義を持っているからです.


「ラムサール登録への展望」

 条約の目標は,基準を満たす国際的に重要な湿地を,世界中からできるだけ多く,条約に登録することです.短期的には,締約国会議は2005年までに2,000ヶ所以上を登録するという目標を立てました.現在の登録地域数の倍にあたります.ラムサール条約という世界の傘のもとにこれほど多くの湿地資源を導くために,未加盟国の加盟を促し,まずは登録することができる国際的に重要な湿地を見きわめ,そしてそのような湿地を条約に登録するための科学的・政策的手順を進めるように締約国会議は呼びかけています.関係国政府のこのような取り組みを支援するために,1999年5月の締約国会議は,「国際的に重要な湿地の条約への登録に向けた戦略的枠組みと指針」1という重要な政策文書を採択しました.

 この戦略的枠組みのすべては,次のような「ラムサール登録への展望」に基づいています:

グローバルレベルの生物多様性の保全にとって重要であり,かつその湿地の生態学的・水文学的機能を通して人類の暮らしを支えてくれている湿地,そのような湿地の国際的なネットワークを築き上げ,維持してゆきましょう.

1 Ramsar Handobook No.7,または条約ウェブサイトの<http://ramsar.org/key_res_vii.11e.htm>を参照してください.


湿地のグローバルレベルでのネットワーク
 条約への登録によって,国際的に重要だと認識される湿地の地球規模でのネットワークを築き上げるために,戦略的枠組みでは4つの重要目標を掲げています:
  1. 各締約国においては,さまざまな多様な湿地を網羅し,それらの重要な生態学的・水文学的機能を網羅できるように,登録湿地の国内的なネットワークを築きましょう.
  2. 適切な湿地環境を登録し,また保全することによって,グローバルレベルの生物多様性の保全に貢献しましょう.
  1. 登録湿地の選定・指定・保全の活動にあたっては,他の締約国・条約のパートナー団体・地元の人々との協力関係を育みましょう.
  2. wwds4es.gif (16KB) 他の国際的な環境条約における国内的・国際的な協力関係を促進するためのツールとして,ラムサール条約登録湿地のネットワークを活用しましょう.

各国の湿地とグローバルレベルの意義

 地球規模での国際的に重要な湿地のネットワークを築くことによって世界の湿地を持続可能なかたちで活用しようとする,このような展望を成し遂げるためには,個々の湿地すべてにおける保全活動と同じように,政府機関・非政府機関・学術研究機関・メディア・市民グループの,地元レベル〜国内レベル〜国際レベルにいたるすべての段階での可能な限りの取り組みを必要としています.
 それぞれの状況のもとに最も効果的で最も実現可能な取り組みのどんな場合においても,「国際的に重要な湿地をたたえよう」という2000年2月2日のワールド・ウェットランド・デイのテーマは,湿地が人類に与えてくれる多大な恩恵やその喪失・劣化を緊急にくい止めなければならないという理解を人々に与えてくれるでしょう.

 ワールド・ウェットランド・デイ2000は,みなさんのところの国際的に重要な湿地すべてをたたえる良い機会です.それが条約の登録湿地に指定されていようとも,いなくても.実際,まだ登録されていない湿地ならば,この機会が登録へ向けてのひとつのステップになるでしょう.2000年2月2日にすべての国際的に重要な湿地をたたえることは,条約の目標である2005年までに2,000湿地を登録することに大きく役立つことでしょう.

条約事務局では,みなさんのワールド・ウェットランド・デイの取り組みについての知らせを募集しています.当日前に計画を知らせていただいてもかまいませんし,開催後に報告いただいてもかまいません.もちろん両方でも.事務局スタッフは,それらを条約のウェブサイトに掲載します.送り先は電子メールで<ramsar@ramsar.org>へ,掲載する条約のウェブサイトは<http://ramsar.org/>です. Ramsar Logo