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JOGA

JOGA9
(2007)

東アジア・オーストラリア地域渡り性水鳥重要生息地ネットワーク(ガンカモ類)支援・鳥類学研究者グループ:JOGA
第9回集会「東アジア・オーストラリア地域フライウェイ・パートナーシップの発足と協力」
日韓のガンカモ類の共通点・特色、韓国で開催される第10回ラムサール条約締約国会議を控えて
報告1

世界水鳥個体数推定 第四版の日本語版公開、およびEAAFパートナーシップの発足について

岸本 伸彦(財団法人 日本野鳥の会 自然保護室)


1.世界水鳥個体群推定 第四版の日本語版公開

WPE4 cover

 世界水鳥個体数推定 第四版(Waterbird Population Estimates, Forth Edition、以下WPE4と略す)が、2007年1月に国際湿地保全連合(Wetlands International、以下WI)から発行されました。本書は、国際湿地保全連合により、3年おきに内容を見直され、ほぼ6年おきに改訂版を発行されています(第三版(WPE3は2002年秋に発行))。

 小会がアジア・太平洋地域渡り性水鳥保全戦略の国内事務局として、関係者の協力を得て、WPE4から日本に適用できる個体群の1%基準値の情報を付表にまとめ、以下のウェブで公開しています。

 本書は、ラムサール条約の湿地選定基準6;水鳥の生物地理学的個体群の1%以上の個体を、定期的に支える湿地を国際的に重要とみなすを運用するために、ラムサール条約がWIに対して、世界中の水鳥の個体群推定をとりまとめて1%基準値を算定し、それらを定期的に刊行するように要請し、WIが発行したものです。

AWC report
20022004年のAWC報告書

 また、本書を作成するにあたり、アジア・太平洋地域の水鳥個体数を推定するために、アジア水鳥センサス(Asian Waterbird Census、以下AWCと略す)が実施されています。日本は、モニタリングサイト1000やガンカモ一斉調査等、各地で調査されたデータを取りまとめ、環境省からWIに提出しています(詳細は環境省自然環境局生物多様性センター・阪口様の要旨及び発表を参照願います)。

2.EAAFパートナーシップの発足

パートナーシップのロゴ

 2006年11月、インドネシア・ボゴールにおいて、「東アジア・オーストラリア地域フライウェイ・パートナーシップ」(渡り性水鳥保全連携協力事業、Partnership for the East Asian Australasian Flyway、以下「EAAFパートナーシップ」と略す)が発足しました。

 EAAFパートナーシップとは、東アジア・オーストラリア地域において、渡り鳥にとって重要な生息地の保全を国際的に進めていく、新しい国際連携協力事業です。

図1
重要生息地ネットワークのイメージ
図2
EAAFパートナーシップ発足式
2006年11月 インドネシア・ボゴール

 日本の渡り鳥の保護は、これまで二国間条約・協定(米国・豪州・ロシア・中国)に基づく二国間協力のほか、多国間協力の取組として「アジア・太平洋地域渡り性水鳥保全戦略(19962006)」に基づき、渡り鳥の重要生息地の国際的ネットワークの構築等の取組が行われてきました。

 1996年に日本・環境庁(現環境省)とオーストラリア・自然環境庁(現環境遺産省)、WIが主導して、「アジア・太平洋地域渡り性水鳥保全戦略」(第期:19962000、第期:20012006)(以下、水鳥保全戦略と略す)を策定しました。この戦略に基づき、シギ・チドリ類、ツル類、ガンカモ類の3種群の渡り鳥の生息地の国際的なネットワークが構築され、ネットワーク参加地間の情報交換、人的交流、調査研究等の活動を行ってきました。

 一方、日本政府とオーストラリア政府、そしてWIは、2002年に南アフリカ・ヨハネスブルグにおいて国連主催により104ヵ国の首脳が出席して開催された「持続可能な開発に関する世界首脳会議」(WSSD、通称:ヨハネスブルグ・サミット)に際して、国際連携協力事業(WSSDタイプ2パートナーシップ・イニシアティブ)として、渡り鳥の生息地の保全に関するプロジェクトを登録しました。

 そして2006年、水鳥保全戦略の終了にあたって、アジア・太平洋地域の渡り鳥及びその生息地の保全に係る国際協力をさらに強化するため、日本・環境省とオーストラリア・環境遺産省が主導し、WSSDタイプ2パートナーシップ・イニシアティブの側面を充実させる形で、2006年11月に「EAAFパートナーシップ」が新たに発足しました。

 EAAFパートナーシップの発足に伴い、水鳥保全戦略は発展的に解消され、シギ・チドリ類、ツル類、ガンカモ類の3種群の重要生息地ネットワークの参加湿地は、EAAFパートナーシップに基づく新たな重要生息地ネットワークに移行されることになりました。日本国内の既存3種群のネットワークは今後も継続して運用されます。詳しくは、
 環境省インターネット自然研究所>渡り鳥生息地ネットワーク
 http://www.sizenken.biodic.go.jp/flyway/
をご覧下さい。

[JOGA第9回集会「東アジア・オーストラリア地域フライウェイ・パートナーシップの発足と協力」2007年9月21日]

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URL: http://www.jawgp.org/anet/jg012a.htm
2007年9月11日掲載,9月13日更新(リンク追加),JOGA