ナビゲーションをスキップ
[ 重要生息地ネットワーク ] [ 日本鳥学会 ] [ 環境省「インターネット自然研究所」 ]
JOGA
JOGA12
(2010a)

東アジア・オーストラリア地域渡り性水鳥重要生息地ネットワーク(ガンカモ類)支援・鳥類学研究者グループ:JOGA
第12回集会「ガンカモ類における個体群動態の把握と個体群管理に向けた課題」

講演4

日本で越冬するマガンの個体群パラメータ推定

森口 紗千子国環研天野 達也農環研牛山 克巳(宮島沼水鳥・湿地センター)藤田 剛東大・農・生物多様性樋口 広芳東大・農・生物多様性


 マガンは1970年初頭に約5000羽まで減少したが,その後急激に増加している.しかし越冬地や中継地としてマガンが利用する生息地数は増加しておらず,少数の生息地に一極集中による小麦食害などの農業被害が問題となっている.推定した個体群動態パラメータを他の個体群や個体群の急増により問題となっている近縁種と比較することによって,将来的な個体群管理のための個体群ステータスに関する情報を提供することができるであろう.そこで本研究では,日本で越冬するマガン個体群を対象とし,ベイズモデルを用いて観察誤差を考慮しながら個体群動態パラメータと真の個体群サイズの推定を行なった.
 個体数データには,環境省が行なっているガンカモ科鳥類の生息調査の1970年から2008年までの結果を用いた.生存率は中継地宮島沼と越冬地伊豆沼における首輪標識個体の観察データを用いて推定した.繁殖率は中継地宮島沼で繁殖直後の秋の滞在時に調査した成幼比を用いて推定した.年平均生存率は成鳥で 0.85,幼鳥で 0.80とともに高く,成幼比も年平均 0.47と他の個体群や近縁種と同様であった.年間個体群成長率の平均は 11%であり,世界的に見ても高い成長率で今後も増加することが予測され,個体数を適正に管理するには駆除や繁殖抑制といった個体群調整の必要性が示唆された.

図1
図1.推定された日本で越冬するマガンの真の個体数.個体数データはガンカモ科鳥類の生息調査(環境省)による.

※解析に使用した首輪標識個体の標識情報および観察記録の一部は,以下の方々にご提供いただきました.この場を借りて厚く御礼申し上げます.
 草野貞弘,瓜生篤,宮林泰彦,星子廉彰,谷川毅,呉地正行,池内俊雄,田村将剛,秋葉徹,進東健太郎,鈴木康,戸島潤,荒尾稔,尾田和雄,近藤健一郎,篠原盛雄,嶋田哲郎,田尻浩伸,日本雁を保護する会事務局,おとも自然友の会 (敬称略)

[JOGA第12回集会「ガンカモ類における個体群動態の把握と個体群管理に向けた課題」2010年9月19日]

[ 重要生息地ネットワーク ] [ 日本鳥学会 ] [ 環境省「インターネット自然研究所」 ]
Valid HTML 4.01 Transitional Valid CSS 2.1

URL: http://www.jawgp.org/anet/jg015d.htm
2010年11月23日掲載,JOGA