冬期湛水水田
プロジェクト

もくじ

あらまし

背景

循環型水田農業の実現

農業共生型ビオトープネットワークの構築

成果

1999年度

1998年度

他地域の例

参考情報

リーフレット

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 1998年度のプロジェクト 

1998/1999年冬から,宮城県田尻町内で不耕起農法での稲作を行っている小野寺実彦さんの水田(約3ha)で冬期湛水水田プロジェクトを開始しました.1998年11月26日より近くの水利権のない用水路からポンプで揚水を開始し,約15cmの水位まで湛水しました(右写真).

 プロジェクトの成果 

1998年冬のプロジェクトの成果は次図の通りです.

湛水を開始して4日後にはオオハクチョウ4羽が飛来し,採食している姿が観察されました.ハクチョウ類は主にオオハクチョウが利用しましたがコハクチョウの利用も確認され,1月19日には最大約200羽のハクチョウ類が観察されました.

さらに,1月21日には待望のマガン23羽の利用が観察され,2月19日には最大で120羽のマガンが確認されました.マガンも基本的に採食地として湛水水田を利用していました.

湛水水田を利用するマガン(左)とハクチョウ類(右)

 課題 

このように,1998年度は湛水水田がハクチョウ類,ガン類の採食地としての利用が確認され,一定の成果を上げることができました.

しかし,目標としていた塒利用の確認には至りませんでした.これは,水鳥が安心して夜を過ごすことができるに十分な湛水面積が確保できていないこと,水深が浅すぎて外敵が侵入可能であること,車両等の通行する道路から比較的近いことなどが要因として考えられました.

また,水を汲み上げるポンプやその稼働費用(電気代)の確保,冬期湛水後の水田耕作への影響の有無・程度の評価,農家に対する湛水水田プロジェクトの普及啓発などが課題として残されました.

今後は水鳥だけでなく,乾田化によって生息環境の悪化が懸念されている,トンボなど水生昆虫の生息環境としての評価を行っていくことも重要であろうと考えています.