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ガンカモ類重要生息地ネットワーク支援・
鳥類学研究者グループ:JOGA 第1回自由集会

日本に越冬するカモ類の個体群の現状

宮林 泰彦 (雁を保護する会)

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表1.日本に越冬するカモ類個体群.
種または亜種 越冬

保護
状態
Tadorna tadorna 1,000 EN
Aix galericulata 19,000 [NT]
Anas strepera strepera 15,000  
Anas falcata 9,000 6,404
Anas penelope 170,000 16,016
Anas platyrhynchos platyrhynchos 500,000 233,069
Anas poecilorhyncha zonorhyncha 220,000 189,777
Anas clypeata 21,000 4,101
Anas acuta acuta 200,000 25,168
Anas formosa 1,200 VU [VU]
Anas crecca crecca 190,000 145,298
Aythya ferina 180,000 5,363
Aythya fuligula 80,000 5,579
Aythya marila mariloides 180,000 2,907
Histrionicus histrionicus pacificus 3,100 LP
Clangula hyemalis 2,700  
Melanitta nigra americana 11,000 2,476
Melanitta fusca stejnegeri 500  
Bucephala clangula clangula 4,000  
Mergus albellus 2,000  
Mergus serrator serrator 5,000  
Mergus merganser
merganser / orientalis
5,000  

[凡例]

  • 越冬数:1994-1998年の1月の計数値(環境庁 1998)の平均.
  • 傾向:1972-1998年の27年間の計数値(環境庁 1998)を均等な3つの期間に区切り,各期間のあいだの値分布の有意差をMann-WhitneyのU検定α≦0.05.△:有意差をもって増加するもの,▼:減少,−:有意差無し.
  • 保護状態:
    • 日本における現在の狩猟対象種について,1991-95年度の狩猟数の平均値(環境庁 1997).これらの対象種で下記に該当するものはない.
    • 環境庁(1998年改訂)の日本のレッドリストの記載.
    • [ ]内に,1996年改訂の世界のレッドリスト(IUCN 1996)の記載.
    • 日本のレッドリストのカテゴリーと[ ]内はIUCNカテゴリー:
      CR: 絶滅危惧IA類 [Critically Endangered]
      EN: 絶滅危惧IB類 [Endangered]
      VU: 絶滅危惧II類 [Vulnerable]
      NT: 準絶滅危惧 [Lower Risk: near threatened]
      LP: 絶滅のおそれのある地域個体群

 わが国には,39種41亜種のカモ類が記録されている(日本鳥学会 1997)が,現在毎年定期的にまとまった群れになって越冬するものは22種23亜種である(表1).これらのうち,日本国内で広域に繁殖分布するものはオシドリとカルガモの2種.

 環境庁(1998)の毎年1月の全国一斉カウント,1972-1998の27年間のデータから見てみると,その計数値が有意に減少しているものが4種,有意に増加しているものが10種,有意差が見られないものが8種あった(表1).1997年のこの調査のデータからカモ類全体の越冬環境を見てみると,海岸・河口,河川,湖沼,人造湖の4タイプがそれぞれ概ね1/4を占めた.減少傾向を示すもののうち現在狩猟対象となっているのはヨシガモ1種.減少を示す種について,繁殖環境・分布,採食生態,越冬環境の側面から考察してみたい.

 Miyabayashi & Mundkur (1999)が,ラムサール条約の2万羽基準と1%基準を用いて検出したカモ類にとって国際的に重要な生息地は,日本国内に39ヶ所あった.その対象となったのは10種で,それぞれについて1-13ヶ所が検出された(中央値=4.5).それらのうち2ヶ所(5%)がラムサール条約登録地,また5ヶ所(13%)が「東アジア地域ガンカモ類重要生息地ネットワーク」に登録されている.

[JOGA第1回自由集会「日本のガン・カモ・ハクチョウ類の個体群の現状」1999年10月9日]

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国際湿地保全連合が
「アジア・太平洋地域渡り性水鳥保全戦略」に基づいて
提唱している国際協力プログラムです.

国際湿地保全連合日本委員会 ガンカモ類フライウェイオフィサー 宮林 泰彦, 989-5502 宮城県 栗原郡 若柳町 字川南南町16 雁を保護する会 TEL&FAX 0228-32-2592 / E-mail: yym@mub.biglobe.ne.jp.

このページは「東アジア地域ガンカモ類重要生息地ネットワーク」公式ホームページ(http://www.jawgp.org/anet/)の一部です. 1999年8月7日掲載.