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重要生息地ネットワーク参加地への手引き

保護地の間の相互交流プログラムの計画手順

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参加地での活動をより活発にするために参加地の姉妹提携が「行動計画:2001-2005」の行動2に提案されています.2001年にIUCN(国際自然保護連合)世界保護地域委員会が,姉妹提携を含む保護地のあいだの相互交流について,世界各地の実例を紹介しつつその概要や機能,計画手順などを解説した冊子(英文)「東アジアの保護地域における交流プログラムの実践」(Hayes & Shultis 2001)を出版しました.この冊子から,重要生息地ネットワーク参加地のみなさんが今後このような相互交流プログラムに取組んでゆく際に活用できるように,重要な点を抜き出して以下に紹介します.ガンカモ類フライウェイオフィサー,2002年4月.

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交流プログラムの機能と利益

保護地のあいだの交流プログラムは,正しく計画され実施されれば,保護地とその関係者に多くの利益をもたらします:

保護地の間の相互交流プログラムの計画手順

IUCNの「東アジアの保護地域における交流プログラムの実践」には,各々の保護地が交流プログラムに取り組み,その交流プログラムを成功させるために,当該の保護地の政策(企画)責任者ならびにスタッフが踏むべき手順が推奨されています:


手順1

事前に十分に計画を練ること.

手順2

目標を明確に立てること.

手順3

相手方は,可能性のある複数の対象地の情報を集めて十分に検討して決めること.

手順4

どのようなタイプの交流事業を行なうか決めること.

手順5

市民の支援と政治的支援を導き出すこと.

手順6

交流計画を最終化し,合意文書を交わすこと.

手順7

資金を獲得すること.

手順8

交流プログラムを実施すること.

手順9

交流プログラムの成果をモニタリングし,評価すること.

手順10

交流後の活動.


これらの手順のそれぞれについて考慮すべき点は以下のとおりです:

手順1
手順2
手順3
手順4
手順5
手順6
手順7
手順8
手順9
手順10

手順1.事前に十分に計画を練ること.

1.1. まずはじめに交流プログラムの必要性を事前評価すること.

交流プログラムの必要性が喚起されるケースとしてつぎの3つの場合広く見られます:

  • 保護地に存在する何らかの課題が自己の取組みだけではどうも解決しそうにない場合.この場合,研修や外部からのアドバイス,あるいは独立した研究を委託するなどまず取組んだうえで,必要であれば交流プログラムを考えること.
  • 保護地が経験を蓄積し,その結果それらを他の保護地と共有したい(あるいは他の保護地へも普及したい)という意識が高まってきた場合.
  • 保護地が国際性を強化したいという意識が高まってきた場合.例えば,地元住民に保護地の国際的重要性を認識してもらいたい場合や,保護地が国際的な取組みに関係している場合【重要生息地ネットワーク参加地はまさにこの場合に当てはまります】.

1.2. 交流プログラムを組み立ててゆくことを担う担当者や担当組織・機関(その人材や作業時間など)が確保できるかどうかを見極めること.

できるだけ早い段階から,交流プログラムコーディネータを任命することが望ましく,コミュニケーションと語学に才があり意欲的な人材をその任に確保することが成功の鍵です.


手順1
手順2
手順3
手順4
手順5
手順6
手順7
手順8
手順9
手順10

手順2.目標を明確に立てること.

2.1. 手順1で検討した交流プログラムの必要性に加えて,最終目標(goal)と達成目標(objective)を決めること.この段階で一度これらを明文化しておくと良い.

最終目標と達成目標の違い:

  • 最終目標は,求められる最終的な成果物や結果についての一般的な声明です.例えば『保護地を保全するための能力を高めること』とか『とある課題に対処するための技術を獲得する』.
  • 到達目標は,目標を数値化しうるような具体的な個別の内容です.例えば『(なにかの取組みの結果として)保護地の訪問者の80%が満足度を得るようにする』とか『訪問者が次の3年間で20%増加させる』.

到達目標を考える際には,その取組みの結果をモニタリングする方法まで考慮しながら検討します.


手順1
手順2
手順3
手順4
手順5
手順6
手順7
手順8
手順9
手順10

別紙:世界に見られるさまざまな保護地のタイプ.

参照

*

国連保護地リスト(英語)

*

ユネスコ世界遺産リスト(日本語)

*

ユネスコ世界遺産目録(英語)

*

ユネスコ「人と生物圏」保護地目録(英語)

*

ラムサール湿地目録(英語)

*

東アジア地域ガンカモ類重要生息地ネットワーク参加地リスト

手順3.相手方は,可能性のある複数の対象地の情報を集めて十分に検討して決めること.

3.1. 対象となる可能性のある保護地について次のような項目の情報を収集してまとめ,自分の保護地の内容と比較検討すること.

必要な情報の内容:

  • 景観と生態系のタイプ.
  • 保護地のタイプ(別紙:世界に見られるさまざまな保護地のタイプ参照).
  • かかえている保全のための課題.
  • 使用言語.
  • 地理的な位置.
  • 地元の社会や文化の類似性と違い.

この過程で考慮すべき重要な点が,さらに二つあります:

  • 相手方の文化や言語,保全技術ならびに協力関係を築くための貢献度について,相互に尊重すること.
  • 交流プログラムが互いに恩恵を得るものとなるように企図すること.これは,のちに(手順6で)合意文書を作成するときに盛り込むことになります.

実際に対象地を探る方法はいくつもあります:

  • ワークショップなどの催しで知り合った保護地の関係者と相談すること.
  • インターネットや資料で各国の保護地の情報を収集する:国連保護地リスト,IUCN保護地目録,ユネスコ世界遺産目録,ユネスコ「人と生物圏」保護地目録,ラムサール湿地目録,重要生息地ネットワーク参加地リストなど.

手順1
手順2
手順3
手順4
手順5
手順6
手順7
手順8
手順9
手順10

手順4.どのようなタイプの交流事業を行なうか決めること.

4.1. 実施される交流事業には下のようにさまざまなタイプのものが考えられる.その中から自分の保護区が求める目標にふさわしい事業を企画すること.

交流事業のタイプ:

  • 相互のグループ訪問.互いを理解し,共通の課題を見つけ,長期的な協力関係を築くために役立つ,最もポピュラーな事業.一般市民やNGO,教員,保護地スタッフ,政策決定者などさまざまな関係者が参加できます.
  • 研修の機会.保護地のスタッフを(単独あるいは複数で)相手の保護地に派遣し(あるいは招いて),短期(半年程度以内)にわたってその保護地での保全活動(あるいは特定の専門的技術など)の研修を履修させること.
  • (比較的長期の)交流人事.

どのような場合においても,これらの事業に加わる人々が参加したかたちでの(参加型の)企画,準備,事後評価とフォローアップがその事業の成功の鍵を握ります.


手順1
手順2
手順3
手順4
手順5
手順6
手順7
手順8
手順9
手順10

手順5.市民の支援と政治的支援を導き出すこと.

5.1. 市民の支援ならびに政治的支援はどちらも交流プログラムを成功させるために欠かせません.もし,何らかの課題にかかるプログラムを企画する場合は,その課題に直接的に関わる層の支援をとりつけることが大切です.市民の支援があるという状況は社会的にも説得力が高まります.


手順1
手順2
手順3
手順4
手順5
手順6
手順7
手順8
手順9
手順10

手順6.交流計画を最終化し,合意文書を交わすこと.

6.1. どのような交流プログラムを実施するのか計画ができたら,相手の保護地とのあいだに合意文書を交わして互いに承認することが,長期的に安定した協力関係を築くために有効です.

合意文書には次のような内容を記します:

  • 交流プログラムの必要性.
  • 交流プログラムの目的,最終目標と達成目標.
  • 実施を計画する交流事業の内容.
  • 交流プログラムの成果を評価する予定(例えば,報告書を作成する予定時期や成果を発表するワークショップなどを開く予定など).
  • 相互の保護地における交流プログラム担当者(あるいは担当部局や担当コーディネータ).
  • 交流プログラムのモニタリングと評価の計画.
  • 相互の資金調達計画.
  • 交流プログラムの広報計画.
  • (必要ならば)合意文書の改訂方法.

合意文書は,相互の(高級)責任者の署名を得ること(それによって高級責任者の認識も高まる).署名を記念式典のようなイベントで実施することも啓発に役立ちます.あるいはまた,合意文書や署名のニュースを広報し啓発につとめます.


手順1
手順2
手順3
手順4
手順5
手順6
手順7
手順8
手順9
手順10

手順7.資金を獲得すること.

7.1. 資金はさまざまな機関(自己を含む)から調達可能であるが,外部の支援団体から助勢を受けようとする場合は,相手の基金の目的に計画する交流プログラムが合致していることを確認すること.

考えられる資金調達方法:

  • 保護地の自己資金.
  • 各種の助成金や補助金.
  • 事業に参加者自身の(一部)費用負担(旅費交通費など).
  • 費用共同負担原則(Cost-sharing principle).
    交流する相互が,各々の自国内における費用を負担することを(文書で)合意する.これは,一方が他方を訪問する場合に,後者の国内における旅費滞在費等を後者が負担し,前者はその国に到着するまでの旅費を負担する(前者と後者が逆の立場になった場合も同様にする)方法.

手順1
手順2
手順3
手順4
手順5
手順6
手順7
手順8
手順9
手順10

手順8.交流プログラムを実施すること.

8.1. 定期的に交流事業の結果(中長期的な事業の場合は中間報告も含めて)を保護地の関係者ならびに市民に報告することが大切です.これを怠ると事業に直接参加した当事者だけが利益を得ることになってしまいます.


手順1
手順2
手順3
手順4
手順5
手順6
手順7
手順8
手順9
手順10

手順9.交流プログラムの成果をモニタリングし,評価すること.

9.1. 定期的にプログラムが目標に照らし合わせて順調に進展しているかモニタリングし,その結果を関係者のあいだで検討し,必要に応じて事業内容の改善を進めること.

評価には次のような手法があります:

  • 事業に参加したすべての当事者にアンケート形式で評価してもらう手法.
  • 関係者が一同に参加する評価委員会のような組織をつくり,評価と事業内容の改善を議論する手法.
  • 当初の予定期間が完了した時点における交流プログラム全体の評価.それには,相互の関係者や資金を援助した組織に対する,それ以降の交流プログラムの可能性や発展性についての提案が盛り込まれること.

これらの評価には,事業の参加者自身,地元の市民,保護地スタッフ,(高級)責任者まで,さまざまな関係者の参加を得ること.専門家や資金援助組織(あるいはそのコンサルタント)を招くと良いでしょう.


手順1
手順2
手順3
手順4
手順5
手順6
手順7
手順8
手順9
手順10

手順10.交流後の活動.

10.1. 交流プログラムに取組んだ保護地の両者でプログラム全体の評価に取組み,評価結果を相互に伝えること.うまくいったと評価する点についてはその成功要因を,またうまくいかなかったと評価する点についてはその理由を記す必要があります.評価はどちらも同じとは限りません.交流プログラムへの異なる展望ゆえに評価が異なることもしばしばあります.

10.2. 交流プログラムの結果をひろく広報することが啓発にもつながり,また交流プログラムの実施を担い,参加し,支援した関係者の努力を報うことになります.例えば報告書を発行したり,成果を報告する催し物(ワークショップなど)を開くことも良いでしょう(それらの資金は手順6の資金計画,ならびに手順7の合意文書にあらかじめ盛り込んでおくこと).

10.3. 同じ相手方と交流プログラムをさらに進めるかどうか,互いに検討し連絡を取り合うこと.それまでの交流プログラムが大きな成果を収めた場合は,新たな目標をもって計画することもできますし,新たな目標に適した別の交流先を探すこともありえます.成果が十分でなかった場合は,その原因を把握して,それを克服できるような新たな計画を立てることが肝要です.その際も同じ相手方と計画する場合も,新たな相手を探す場合もありえますが,その検討に当たっては,それまでの交流先と連絡を取り合うことが大切であり,交流プログラムが終わったらもう連絡も取り合わないようでは,交流プログラムは成功しません.


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参照

*

IUCN日本委員会

*

保護地類型の定義 英文PDFファイル 25KB

参考:世界に見られるさまざまな保護地のタイプ(IUCNの保護地類型の定義(IUCN 1994)より;類型の名称はIUCN日本委員会訳 http://www.iucn.jp/kokurenlist.html).

IUCN
類型番号

類型の名称と定義

I

(IaとIbをあわせた便宜的類型)

*

ロシア等の「Zapovednik

*

米国の「Wilderness Area

*

日本の原生自然環境保全地域

Ia

厳正保護地域(Strict Nature Reserve)学術研究を主目的として管理される保護地域:

保護区の中の生態系や地理学的生理学的な特徴ならびに生息する種が,傑出しており,あるいは代表的である陸地や海洋の範囲に設置され,科学研究や環境監視のためにだけ利用することができる保護区.

Ib

原生自然地域(Wilderness Area)原生自然の保護を主目的として管理される保護地域:

全くあるいはほとんど人の手が加えられていない広大な範囲の陸地や海洋で,原生の自然の特徴を維持しており,一時的にすら人の居住が無く,その天然の状態を維持するために設置される保全地.

II

国立公園(National Park)生態系の保護とレクリエーションを主目的として管理される地域:

  1. 現在並びの将来の世代のために一以上の生態系システムの生態学的に完全な状態を保存するため;
  2. 設置目的に反する利用や占拠を排除するため;
  3. 環境的ならびに文化的に問題が無い範囲で宗教的,科学的,教育的に,レクリエーションならびにツアリズムに活用するように

設置される,陸地または海洋の自然の範囲の保全地.

III

天然記念物(Natural Monument)特別な自然現象の保護を主目的として管理される地域:

その固有の稀有性,その代表的美的な質,あるいは文化的な重要性によって傑出したあるいは比類の無い価値を有する,特別な自然的あるいは文化的特徴を,一つ以上有する範囲の保全地.

IV

種と生息地管理地域(Habitat / Species Management Area)管理を加えることによる保全を主目的として管理される地域:

特定の種の生物の生息環境としてその種の生息条件を満たすように維持するために積極的に人手も加える対象とする陸地または海洋の範囲の保全地.

*

ロシア等の「Zakaznik

*

日本の鳥獣保護区や種の保存法に基づく保護地域

V

景観保護地域(Protected Landscape / Seascape)景観の保護とレクリエーションを主目的として管理される地域:

歴史的な人々と自然との相互作用によって有意に美的,生態学的,文化的な価値が生まれ,またしばしば高い生物多様性を有する,陸地や海岸,海洋の範囲の主に景観を保全するための保全地.

VI

資源保護地域(Managed Resource Protected Area)自然の生態系の接続可能利用を主目的として管理される地域:

人の手が加えられていない自然のシステムが優占するが,地元住民が自然の産物をその生活のために持続可能な範囲で利用することを認めつつ,その地域の生物多様性の長期的な保護と維持を確保するために設置される保全地.

*

ロシアの天然資源保護区



文献

cover (13KB)


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水鳥保全戦略

インターネット自然研究所

国際湿地保全連合

「東アジア地域ガンカモ類保全行動計画」は「アジア・太平洋地域渡り性水鳥保全戦略」に基づく取組みのひとつです.「東アジア地域ガンカモ類重要生息地ネットワーク」は「行動計画」のもとにガンカモ類にとって国際的に重要な生息地の保全を効果的に進めるための国際協力プログラムです.これらの取組みは日本を含む関係各国政府等の支援のもとに国際湿地保全連合が調整しています.

東アジア全域のガンカモ類に関するこの取組みの活動を監督するための作業部会「ガンカモ類ワーキンググループ」がアジア・太平洋地域渡り性水鳥保全委員会に設置されています.ガンカモ類ワーキンググループを補佐し,東アジア全域の活動を推進するための事務局としてフライウェイオフィサーがおかれています.

日本国内での活動は環境省の同「戦略」推進事業のもとに,シギチドリ類,ツル類などの活動と協調しあいながら進められています.国内の「戦略」推進事業の活動のウェブサイトとして環境省インターネット自然研究所に「渡り鳥生息地ネットワーク」のコーナーが設置されています.ガンカモ類を含む3つの種群のそれぞれに日本国内での活動を推進するための国内コーディネーターがおかれています.

日本国内での活動等についてのご質問・お問い合わせはガンカモ類 国内コーディネータまでお願いします.連絡先のページへ.

重要生息地ネットワークの個々の参加地での活動等についてのご質問・お問い合わせは各参加地までお願いします.連絡先のページへ.

東アジア地域全体にかかわるご質問・お問い合わせはフライウェイオフィサーまでお願いします.連絡先のページへ.

2002年4月16日掲載, 2004年5月29日更新(引用文献の掲載アドレスの修正).